海底撈月

手遊び

日記

20201119

がらんとしたゴミ捨て場の脇に、フェンスをすり抜けた果樹が実を落としていた。
毎年収穫される様子がないとはいえ直接もぎ取るのは憚られるし、茎はそれを躊躇わせるに十分な硬さを持っていたのを知っていたから、つい小走りになり拾い上げる。
裏は変色した皮ばかりが垂れ下がっていて、中身は殆ど野鳥かなんかに食われていた。
「なにしてるの」星空のどれが冬の大三角系だか尋ねるには互いしかいない様な、しんとした住宅街で友人を家まで送っている最中の事だった。


 帰路について寝潰すと時計の短身が昨晩と変わっていない。
昨晩作ったペンネを一口食べて、いつも通り蜂蜜をたっぷりかけたヨーグルトを口へやり応募したWebバイトの着信がないか確かめる。履歴には見覚えのある名前しか並んでいない。
このまま着ずとも今日は緊張感を持って過ごせるから良いと思う。


 日が暮れ、カラオケのクーポン券を見つけたので夜から朝方にかけてのフリータイムに行くことにした。
予約は数時間先だから証明写真を撮って、履歴書を書く。珍しくコートがいらないほど暖かい。
こういう時いつも上手くやろうと思うけど、思い通りいかず苦心する。1時間もかかった。
実行のハードルが低い事は一応終わらせられて満足できるから良い。掃除や料理がそうで、最近だと歌もそう。
段々と煩雑な思考に動きが鈍るけど、なんとかやっていこう。


 文章を習慣的に書いている内に気取った文体になっていってる気がするけど、まあ、まあ良い。生活していけばその内最適化される。